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『エリザベート』博多座遠征の旅記録②長崎~福岡編

 

長崎2日目の朝。
まず、雨が降ってないことに感動(幸福度レベルの低さよ)。
チェックアウトして朝食にとホテル近くの「桃太呂」さんで長崎豚まんを買って、アツアツのを店前のベンチに座って食べる。ミニサイズなのがありがたい。

路面電車に乗り移動。長崎に来たのならばやはり平和公園は訪れたかった。今が「新しい戦前」になど、絶対にしたくない。もう少し時間に余裕があれば原爆資料館などもゆっくり周りたかったけれど、それは次の長崎旅行に取っておく。軍艦島にも行ってみたいし!

博多に向かうべく、路面電車長崎駅前へ。
西九州新幹線の開業に伴い昨年JR長崎駅にできた「長崎街道かもめ市場」でお土産を物色。ベタにカステラや長崎銘菓「クルス」、「なかしま」さんのいりこナッツなどを購入。旅行支援のクーポンが使えたのでお得に買い物ができた。

そしてやっぱりちゃんぽん食べとかな!!ってことでかもめ市場内の「蘇州林」でちゃんぽんを食す。満足!!

お腹も満たされ、いざ目的の地、福岡・博多へ。
この旅のお楽しみのひとつでもあった、去年誕生した新幹線「かもめ」への乗車。
新しいだけあって、車内もきれいで快適だった~!

鉄子の血が騒ぐ…!

1時間半ほどで博多駅に着き、地下鉄に乗り換え中洲川端駅へ。福岡に住む姉と元旦ぶりに再会し、いざ博多座へ…!

エリザ仕様の階段にテンション上がるッ↑

 

東京公演は10月前半に詰め込んでそれなりの回数観劇できていたのだけど、11月分は1公演しかチケットが取れず。しかもピンポイントでその日が中止期間にあたってしまったので、約2か月半ぶりの『エリザベート』観劇に。

間が空いた分、進化・深化を随所で感じることができた。
まず、愛希さんシシィの歌声の力強さ。「私だけに」の最後の高音はどこまでも真っすぐ伸びていくようで気持ちよかった。愛希さんのシシィは少女時代の奔放さからもそうだけれど、どうしても「はみ出して」しまう性(サガ)が伝わってくるシシィ像にとても説得力がある。彼女が皇室に嫁いでいなかったら、あるいは男性に生まれていたら、どんな人生を送っていただろうか、と想像せずにはいられない。純粋に、「パパみたいに生きたかった」のだろう。だから、終盤の亡き父との対話のシーンがより一層胸に迫る。

古川さんのトートはより歌声に力強さが増し、感情の起伏もバシバシ伝わってきて、全体的に躍動感増し増しのトートに。「最後のダンス」のフェイクも手練れ感が増して聴いていてたのしい。たぶん、古川トートのを聴いてしまったら、もう通常ver.の「最後のダンス」では物足りなくなってしまうと思う(笑)。最後の幕切れの表情については相変わらずいろんな考察が浮かんだけれど、取材時にも話されていた「シシィを手に入れたと同時に失ってしまう、それでも“死”として生きていく」運命とか覚悟とか、そういったものを勝手に受け取りました。トートとしての感情は“自分の中では明確にある”とおっしゃっていたので、実際のところは千穐楽を終えたらきっとどこかで語ってくれるでしょう!笑

他にも印象的だったのは、涼風真世さんのゾフィーゾフィーは帝劇で涼風さんだけ観れていなかったので、博多座でようやく観ることができた。お三方の中ではいちばんキャラが立ったゾフィー様で、威厳だけではなくちょっとコミカルに感じさせる人物像が面白くて、思わずニヤニヤしながら観てしまった。

あと、甲斐さんルドルフの芝居にも引き込まれた。とくに“笑顔”の感情表現が。ハンガリー国王への、未来の姿が(一瞬でも)観客にも見えるかのような希望溢れる笑顔、「ママ鏡」での精一杯取り繕った、怯えが極まった歪な笑顔…。甲斐さんならではのルドルフ像になっていて興味深かった。次はフランツ役とかでも観てみたいなあ。

3回目のカーテンコールで、古川さんがお手振りではなく手をグーにして拳を突き上げ、それに愛希さんも続いて同じポーズで観客の拍手に笑顔で応える姿がとても微笑ましくて可愛らしかった。なんかすごい貴重な光景に立ち会えて得した気分(笑)。

東京から福岡に引っ越した姉は、数年前からたまに博多座で舞台を観たりするようになっていたので、『エリザベート』はぜひ一度観ておいてほしくて今回誘ったのだけど、ウィーンミュージカルを観るのは初めてだったこともあり、色々新鮮に感じながらたのしんでくれた模様。
姉とは以前博多座月組公演『川霧の橋/DC』を一緒に観ていて、今回も改めて家族と一緒に観る面白さや幸福感を感じることができた。次は甥っ子も一緒に連れて行きたいけど、「どの演目がいいか」を考えるととたんに悩ましくなってしまう(笑)。男の子も前のめりでたのしめるミュージカル(ミュージカルじゃなくてもいいけど)って何だろうなあ。

 

姉家族の家に一泊し、翌日はとくに何も予定を入れていなかったので、博多座のお隣にある福岡アジア美術館の『バンクシーって誰?』展へ。没入型ということで、臨場感がある展示だった。

最後に中村倫也さんのグラフィティがあった

                 

このご時世なので、直前まで「公演を観れない可能性」というのは常に覚悟してはいるものの、実際中止になったときの心のダメージはかなりデカい。コロナ禍も3年経ったけれど、“公演中止”に慣れることはこの先もないと思う。しかも、遠征先だったらより悲しみも深い。「公演が観れなくても姉家族に会えるし、長崎旅行のオプションも付けたし!」と心の担保を万全して向かった博多座遠征だったけれど、まずは本当に無事に観劇できたことに感謝したい。もうほんとに感謝しかないんだけどさ、でも誰に?演劇の神様に??

こんな、“イチかバチか”みたいな気持ちで遠征しなくてすむようになってほしい、と改めて感じた遠征旅でもありました。

福岡グルメの締めはかろのうろんでした(店内撮影NGのため看板のみで笑)